男性らしさの象徴とも言える「体毛の濃さ」や「声の低さ」。これらも、テストステロンの作用と深く関わっている身体的な特徴です。テストステロン、特にそれが変換されたDHT(ジヒドロテストステロン)は、毛根にある毛母細胞に働きかけ、体毛の成長を促進する作用があります。思春期にひげが生え始め、胸毛やすね毛などが濃くなるのは、まさにこのホルモンの影響です。そのため、一般的にテストステロン値が高い、あるいはDHTへの感受性が高い人は、体毛が濃くなる傾向があると考えられます。ひげが濃い、胸毛やすね毛がしっかりしているといった特徴が見られるかもしれません。ただし、頭髪に関しては逆の現象が起こることがあります。AGA(男性型脱毛症)は、DHTが頭頂部や前頭部の毛根に作用し、ヘアサイクルを乱すことで進行します。つまり、テストステロン(DHT)の影響は、体の部位によって異なる反応を示すのです。体毛が濃いからといって、必ずしも頭髪が薄くなるわけではありませんが、AGAのリスクとの関連も指摘されています。「声の低さ」も、テストステロンがもたらす第二次性徴の代表的な変化です。思春期にテストステロンの分泌が増加すると、喉頭(のどぼとけ)が発達し、声帯が長く太くなります。これにより、声が低くなる、いわゆる「声変わり」が起こります。したがって、成人男性の声の低さも、テストステロンの影響を反映している可能性があります。しかし、体毛の濃さや声の高さも、遺伝的な要因や人種差などが大きく影響します。例えば、体毛の濃さには個人差が非常に大きく、テストステロン値が高くても体毛が薄い人もいます。声の高さも、声帯の大きさや形状といった解剖学的な特徴に左右されます。これらの特徴は、テストステロンが多い人の「傾向」として挙げられることはありますが、これだけでテストステロン値を判断することはできません。あくまで複合的な要素の一つとして考えるべきでしょう。
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