AGA治療を開始する前や、治療を継続していく上で、場合によっては「血液検査」が必要となることがあります。しかし、オンライン診療では、原則として血液検査を行うことができません。これもデメリットの一つと言えるでしょう。血液検査を行う目的はいくつかあります。まず、治療開始前に「肝臓や腎臓の機能を確認する」ためです。AGA治療薬、特に内服薬であるフィナステリドやデュタステリドは、主に肝臓で代謝されます。そのため、治療を開始する前に肝機能に問題がないかをチェックしておくことが、安全な治療のためには重要です。もし肝機能が著しく低下している場合、薬の服用ができない、あるいは慎重な投与が必要となることがあります。また、治療中も、薬の副作用として肝機能障害が起こる可能性はゼロではないため、「定期的に肝機能をチェック」することが推奨されています。さらに、薄毛の原因がAGAだけでなく、「他の内科的な疾患が隠れていないかを確認する」目的でも血液検査が行われることがあります。例えば、甲状腺機能の異常や、貧血(特に鉄欠乏性貧血)、あるいは亜鉛などの栄養不足が、薄毛や抜け毛の原因となっている場合もあります。これらの可能性を除外するため、あるいは原因を特定するために、血液検査が役立つことがあります。オンライン診療では、これらの血液検査を直接行うことができません。そのため、治療開始前の肝機能などのチェックが省略されたり、治療中の副作用モニタリングが不十分になったりする可能性があります。また、他の疾患が原因である可能性を見逃してしまうリスクも考えられます。もし、健康診断などで定期的に血液検査を受けており、その結果を医師に提示できる場合は問題ないかもしれませんが、そうでない場合は、血液検査が必要と判断された際に、別途、近くの医療機関を受診して検査を受ける必要が出てきます。安全性や、より正確な原因特定という観点からは、必要な検査が直接受けられない点は、オンライン診療のデメリットと言えるでしょう。
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