自分がAGAになりやすい体質なのか、そしてその原因として5αリダクターゼの1型と2型のどちらの影響が大きいのか、知る方法はあるのでしょうか？ 残念ながら、現時点で一般的に行われている検査で、1型と2型の活性の強さを正確に測定し、「あなたは1型優位です」「あなたは2型優位です」と明確に判定する方法は確立されていません。しかし、間接的に推測したり、リスクを知ったりする方法はいくつかあります。一つは、「AGA遺伝子検査」です。一部のクリニックや検査キットでは、AGAの発症に関わる遺伝子を調べることができます。主に調べられるのは「アンドロゲンレセプター遺伝子」の感受性の高さですが、検査によっては「5αリダクターゼ（特に2型）に関連する遺伝子マーカー」を調べるものもあります。これにより、遺伝的にAGAのリスクが高いかどうか、あるいは2型の影響を受けやすい体質かどうかをある程度推測することができます。ただし、これはあくまで遺伝的な「傾向」であり、実際の酵素活性を直接測定するものではありません。また、「症状のパターン」から推測することもできます。前述の通り、生え際（M字）や頭頂部（O字）から薄毛が進行している場合は、2型の関与が大きい可能性が高いと考えられます。頭部全体が薄くなるびまん性の傾向や、皮脂が多くて頭皮トラブルが多い場合は、1型の影響も比較的大きいのかもしれません。しかし、これもあくまで傾向であり、確定的な判断はできません。「治療薬への反応」も一つのヒントになるかもしれません。フィナステリド（主に2型阻害）で十分な効果が得られない場合に、デュタステリド（1型・2型両方阻害）に変更して効果が見られた、というケースでは、もしかしたら1型の関与も大きかったのかもしれない、と推測することはできます。しかし、これも薬への反応性の個人差など、他の要因も絡むため、単純には言えません。現状では、自分が1型優位か2型優位かを正確に知ることは難しいですが、遺伝子検査や症状のパターン、医師の診察などを通じて、自分のAGAのタイプやリスクをある程度把握することは可能です。そして、その情報をもとに、医師と相談しながら最適な治療法を選択していくことが重要となります。