甲状腺機能の異常が原因で薄毛になっていると診断された場合、まず最優先されるのは、原因である甲状腺疾患そのものの治療です。医師の指示に従って、内服薬などでホルモンバランスを整えることが、脱毛症状改善への最も重要なステップとなります。それに加えて、治療期間中に髪と頭皮を健やかに保つための「ヘアケア」にも気を配ることで、よりスムーズな回復をサポートできるかもしれません。甲状腺機能亢進症・低下症のいずれの場合も、髪質が変化し、デリケートになっている可能性があります。亢進症では髪が細く柔らかく、低下症では乾燥してパサつきやすくなる傾向があります。そのため、シャンプーは洗浄力が強すぎず、頭皮への刺激が少ない「アミノ酸系」などのマイルドなタイプを選ぶのがおすすめです。保湿成分(セラミド、ヒアルロン酸など)が配合されたものを選ぶと、乾燥対策にもなります。洗髪時は、爪を立てずに指の腹で優しくマッサージするように洗い、すすぎはシャンプー剤が残らないように十分に行いましょう。熱すぎるお湯は頭皮の乾燥を招くので、ぬるま湯を使うのが基本です。髪がもろく切れやすくなっている場合もあるため、タオルドライはゴシゴシ擦らず、優しく押さえるように水分を取ります。ドライヤーも、熱風を近づけすぎたり、長時間当て続けたりしないように注意し、髪や頭皮へのダメージを最小限に抑えましょう。洗い流さないトリートメントなどで髪を保護するのも良いでしょう。頭皮マッサージは、血行を促進し、気分転換にもなるため有効ですが、強く擦りすぎないように優しく行いましょう。カラーリングやパーマについては、髪や頭皮の状態が不安定な時期は、できるだけ避けるか、担当の美容師さんとよく相談し、低刺激な薬剤を選んでもらうなどの配慮が必要です。また、甲状腺疾患の治療中は、体調が不安定になることもあります。バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレスを溜めない生活を心がけることも、髪の健康回復を助けます。自己判断で市販の育毛剤などを使用する前に、まずは主治医や皮膚科医に相談し、適切なヘアケアについてアドバイスを受けるのが安心です。
- 薄毛悩み向け、トリートメント選びの視点
- 血液検査など、必要な検査が受けられない