抜け毛の原因が、AGAではなく「円形脱毛症」と診断された場合、治療法は全く異なります。円形脱毛症は自己免疫疾患と考えられており、治療の目的は、異常な免疫反応を抑え、毛根への攻撃を止めて発毛を促すことにあります。治療法は、脱毛斑の範囲や数、重症度、年齢などによって選択されます。軽症の場合(脱毛斑が小さい、数が少ないなど)は、まず「ステロイド外用薬(塗り薬)」が用いられることが多いです。ステロイドには免疫反応や炎症を抑える効果があり、患部に塗布することで毛根への攻撃を和らげ、発毛を促します。また、血行を促進する目的で「塩化カルプロニウム(フロジン液など)」の外用薬が併用されることもあります。脱毛斑が限られている場合には、「ステロイド局所注射」も有効な治療法です。脱毛部分の皮膚に直接ステロイドを注射することで、より効果的に炎症を抑え、発毛を促します。数週間に1回程度の頻度で行われます。脱毛範囲が広い場合や、症状が進行している場合には、より強力な治療法が検討されます。「局所免疫療法(かぶれ療法)」は、特殊な薬剤(SADBEやDPCPなど)を脱毛部に塗布し、意図的に軽いかぶれ(接触皮膚炎)を起こさせることで、毛根に向かっていた免疫反応の矛先を変えさせ、発毛を促す治療法です。根気強い通院が必要となります。「紫外線療法(PUVA療法、ナローバンドUVB療法など)」も、免疫反応を抑える効果が期待される治療法です。週に数回、クリニックで特殊な紫外線を照射します。非常に重症な場合や、急速に進行している場合には、「ステロイド内服薬」が用いられることもありますが、全身性の副作用のリスクがあるため、短期間の使用に限られることが多く、医師による慎重な判断が必要です。その他、抗アレルギー薬の内服などが補助的に用いられることもあります。円形脱毛症の治療は、効果が現れるまでに時間がかかることも多く、再発する可能性もあります。医師の指示に従い、根気強く治療を続けることが大切です。また、ストレスが悪化要因となることもあるため、心身のケアも重要になります。
- 診断技術も進化?遺伝子検査やAIの活用
- より自然に、より負担なく。進化した自毛植毛