産後の抜け毛は、多くの場合、一時的な生理現象であり、時間が経てば自然に治まります。しかし、中には注意が必要なケースや、専門医への相談が推奨される場合もあります。どのような場合に病院を受診すべきか、その目安を知っておきましょう。まず、抜け毛が始まる時期や期間です。通常、産後2~3ヶ月頃から始まり、半年から1年程度で落ち着くことが多いですが、「産後1年以上経っても抜け毛が全く減らない、あるいは悪化している」場合は、ホルモンバランス以外の原因が考えられるため、一度相談してみるのが良いでしょう。次に、「抜け毛の範囲やパターン」です。産後の抜け毛は、頭部全体の髪が均等に薄くなる「びまん性」が一般的です。もし、「特定の場所だけが円形に抜けている」場合は、「円形脱毛症」の可能性があります。これは自己免疫疾患であり、皮膚科での治療が必要です。また、「生え際や頭頂部だけが著しく薄くなっている」場合は、男性のAGAに似た「FAGA(女性男性型脱毛症)」の可能性も考えられます。これも皮膚科や専門クリニックへの相談が推奨されます。「抜け毛以外の症状」にも注意が必要です。強い「かゆみ」「赤み」「フケ」「湿疹」など、明らかな頭皮トラブルがある場合は、脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患の可能性があります。皮膚科で適切な治療を受けましょう。また、抜け毛とともに、「著しい倦怠感」「むくみ」「急激な体重変動」「動悸」「気分の落ち込み」など、他の体調不良が長く続く場合は、「甲状腺疾患」や「貧血」など、内科的な病気が隠れている可能性もあります。この場合は、まず内科や婦人科を受診し、原因を調べてもらう必要があります。心配な場合は、まずかかりつけの産婦人科医に相談してみるのも良いでしょう。状況に応じて、適切な診療科を紹介してもらえます。産後の抜け毛は多くのママが経験することですが、「いつもと違う」「長すぎる」「他の症状がある」と感じたら、自己判断せずに専門医に相談する勇気を持つことが大切です。不安を解消し、適切な対処をするためにも、早めの受診を心がけましょう。
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