オンラインAGA診療の最も大きなデメリットの一つとして挙げられるのが、「医師による直接的な触診や、詳細な検査ができない」ことです。これは、診断の精度や、AGA以外の原因を見逃すリスクにつながる可能性があります。対面診療の場合、医師は患者さんの頭皮の色、硬さ、弾力、炎症の有無などを、直接目で見て、手で触れて確認します。また、マイクロスコープ(ダーモスコープ)という特殊な拡大鏡を用いて、毛穴の状態、皮脂の分泌量、髪の毛一本一本の太さや密度、AGA特有の軟毛化の進行度などを詳細に観察します。これらの情報は、AGAの診断を確定し、進行度を正確に評価する上で非常に重要です。しかし、オンライン診療では、基本的に患者さん自身がカメラに映し出す映像と、問診による情報に基づいて診断が行われます。画面越しでは、頭皮の微妙な色合いや質感、毛穴の詳細な状態などを正確に把握することは困難です。医師は経験に基づいて判断しますが、どうしても得られる情報が限られてしまうため、対面診療に比べて診断の精度がやや劣る可能性は否定できません。特に、薄毛の原因がAGAではなく、例えば脂漏性皮膚炎や円形脱毛症、あるいは他の皮膚疾患であった場合、画面越しの診察だけでは見逃してしまうリスクも考えられます。これらの疾患は、AGAとは治療法が全く異なるため、誤った診断は不適切な治療につながりかねません。もちろん、多くのオンライン診療サービスでは、経験豊富な医師が診察にあたっていますが、物理的な限界があることは認識しておく必要があります。特に、初めて薄毛の相談をする場合や、症状が典型的でない場合には、一度は対面での診察を受け、正確な診断を得る方が安心できるかもしれません。