通常のヘアトリートメントが主に髪の毛のダメージケアを目的としているのに対し、近年注目されているのが「スカルプトリートメント」あるいは「頭皮用トリートメント」と呼ばれる製品です。これは、髪だけでなく、髪が生える土壌である「頭皮」の環境を整えることに特化したアイテムです。健康な髪は健康な頭皮から育まれる、という考えに基づいています。スカルプトリートメントには、どのような役割や効果が期待できるのでしょうか。まず、「頭皮の保湿」効果です。頭皮も肌の一部であり、乾燥するとバリア機能が低下し、外部からの刺激に弱くなったり、かゆみやフケの原因になったりします。スカルプトリートメントには、セラミドやヒアルロン酸、コラーゲンといった保湿成分が配合されており、頭皮に潤いを与え、乾燥を防ぎます。次に、「頭皮の血行促進」をサポートする成分が含まれている場合もあります。マッサージと併用することで、頭皮の血行を促し、毛根への栄養供給を助ける効果が期待できます。「抗炎症成分」が配合されているものもあります。グリチルリチン酸ジカリウムなどが代表的で、頭皮の炎症を抑え、かゆみや赤みを軽減し、健やかな頭皮環境を保つのに役立ちます。また、製品によっては、「皮脂バランスを整える」成分や、「清涼感を与える」成分などが配合されていることもあります。使い方は製品によって異なりますが、シャンプー後、水気を切った頭皮に直接塗布し、指の腹で優しくマッサージするようになじませ、その後洗い流すタイプが多いです。洗い流さないタイプの頭皮用美容液のような製品もあります。スカルプトリートメントは、頭皮環境を整えることで、間接的に抜け毛の予防や、健康な髪の育成をサポートすることが期待されます。ただし、これも医薬品ではないため、AGA(男性型脱毛症)などの進行性の薄毛を治療したり、発毛を促したりする直接的な効果はありません。あくまで、頭皮環境を健やかに保つための「ケア」として位置づけるのが適切です。頭皮の乾燥やかゆみ、フケなどが気になる場合には、試してみる価値があるかもしれません。
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