病院での診察の結果、抜け毛の原因がAGA(男性型脱毛症)であると診断された場合、どのような治療法が提案されるのでしょうか。AGAは進行性の脱毛症であるため、多くの場合、医学的根拠に基づいた薬物療法が治療の中心となります。現在、AGA治療薬として有効性が認められ、標準的に用いられているのは、主に「5αリダクターゼ阻害薬(内服薬)」と「ミノキシジル(外用薬)」です。1. 5αリダクターゼ阻害薬(内服薬): AGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑える薬です。「フィナステリド(プロペシアなど)」と「デュタステリド(ザガーロなど)」の2種類があります。これらは、ヘアサイクルの乱れを改善し、抜け毛を減らし、薄毛の進行を抑制する効果があります。いわばAGAの進行にブレーキをかける「守り」の治療薬です。どちらの薬を選択するかは、症状の進行度や医師の判断によります。これらは医師の処方が必要な医療用医薬品です。2. ミノキシジル(外用薬): 頭皮に直接塗布することで、毛根の血行を促進し、毛母細胞を活性化させ、発毛を促す効果があります。新しい髪を生やし、今ある髪を太く育てる「攻め」の治療薬と位置づけられます。市販薬もありますが、クリニックではより高濃度のものが処方されることがあります。AGA治療では、多くの場合、この内服薬と外用薬を「併用」することが推奨されます。抜け毛を抑えながら発毛を促すことで、より高い治療効果が期待できるためです。医師は、あなたの状態に合わせて、これらの薬剤の種類や用量を決定し、処方します。これらの基本的な薬物療法に加えて、クリニックによっては、さらに効果を高めるための補助的な治療法が提案されることもあります。例えば、「注入療法(メソセラピー)」は、成長因子などを頭皮に直接注入する方法、「低出力レーザー治療」は、レーザー光で毛根を刺激する方法です。また、薬物療法で効果が不十分な場合の最終手段として、「自毛植毛」という選択肢もあります。医師から各治療法の効果、副作用、費用などについて十分な説明を受け、納得した上で治療を開始することが大切です。
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