抜け毛や薄毛に気づき、その原因として「甲状腺機能の異常」が疑われる場合、あるいは実際に診断された場合でも、必ずしもそれが薄毛の唯一の原因であるとは限りません。特に、ある程度の年齢になると、甲状腺疾患の影響に加えて、AGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性男性型脱毛症)、あるいは加齢による自然な変化などが複合的に関与している可能性も考えられます。例えば、甲状腺機能低下症の治療を受けてホルモン値は正常になったけれど、思ったほど髪の状態が改善しない、というケースもあります。この場合、甲状腺疾患だけでなく、AGAやFAGAも併発している可能性が考えられます。AGAやFAGAは、甲状腺疾患とは異なるメカニズム(主にホルモンや遺伝)で進行するため、甲状腺の治療だけでは改善しないのです。また、ストレスや栄養不足、睡眠不足といった生活習慣の乱れが、甲状腺疾患による薄毛をさらに悪化させている、あるいは回復を妨げている可能性もあります。円形脱毛症が併発しているケースも考えられます。このように、薄毛の原因は一つとは限らず、複数の要因が絡み合っていることも少なくありません。だからこそ、自己判断は禁物であり、専門家である医師への相談が不可欠なのです。甲状腺疾患が疑われる場合は、まず内科や内分泌内科で正確な診断と治療を受けることが最優先です。その上で、脱毛症状が続く場合や、AGAなど他の脱毛症の可能性も考えられる場合は、皮膚科医や薄毛治療専門クリニックの医師にも相談し、頭皮や毛髪の状態を詳しく診てもらうのが良いでしょう。複数の専門家の視点から評価してもらうことで、より的確な原因特定と、個々の状況に合わせた最適な治療方針(例えば、甲状腺治療とAGA治療の併用など)を立てることが可能になります。薄毛の悩みは複雑な場合もあります。原因は一つと思い込まず、全体的な健康状態を含めて、信頼できる医師とよく相談しながら、根気強く対策に取り組んでいくことが大切です。

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