テストステロンが多い人は、どのような身体的な特徴を持つ傾向があるのでしょうか。一般的にイメージされやすいのが、「筋肉質でがっしりとした体格」かもしれません。実際、テストステロンには、筋肉のタンパク質合成を促進し、筋肉量を増やし、筋力を高める働き(筋肉同化作用)があります。思春期に男性の体が急速にたくましくなるのは、テストステロン分泌量の増加が大きく影響しています。そのため、遺伝的にテストステロンの分泌量が多い、あるいはテストステロンに対する感受性が高い人は、比較的筋肉が発達しやすく、トレーニング効果も現れやすい傾向があると考えられます。同じ運動をしていても、筋肉のつき方に差が出るのは、このホルモンの影響も一因かもしれません。また、テストステロンは骨の成長や維持にも関与しています。骨密度を高め、骨を太く丈夫にする働きがあるため、テストステロン値が高い人は、骨格がしっかりとしており、骨太な印象を与える可能性があります。ただし、注意したいのは、体格はテストステロンだけで決まるわけではないということです。遺伝的な骨格の大きさ、成長期の栄養状態、運動習慣なども、体格形成に大きく影響します。テストステロン値が高くても、必ずしも全員が筋肉質で骨太になるわけではありませんし、逆に、細身の体型であってもテストステロン値が高い人もいます。あくまで、「筋肉がつきやすく、骨格がしっかりしやすい傾向がある」という程度に捉えるのが適切でしょう。見た目の体格だけでテストステロンの量を判断することは難しく、個人差が大きいことを理解しておく必要があります。