「ぐっすり眠った」という満足感が、髪の健康にとっていかに重要か、その鍵を握るのが「成長ホルモン」の存在です。成長ホルモンは、その名の通り、体の成長を促すホルモンですが、大人になってからも、細胞の修復や新陳代謝を促進するなど、体のメンテナンスに欠かせない役割を果たしています。そして、この成長ホルモンは、髪の毛を作り出す毛根の細胞(毛母細胞)の活動にも深く関わっており、髪の健やかな成長を促す上で非常に重要なのです。成長ホルモンは、一日の中で常に一定量が分泌されているわけではありません。その分泌量が最も高まるのが、「睡眠中」、特に眠りについてから最初の深いノンレム睡眠(徐波睡眠)の時であると言われています。つまり、夜ぐっすりと深く眠ることが、成長ホルモンの分泌を最大限に促し、髪の成長やダメージの修復を効率的に行うための絶好のチャンスなのです。しかし、睡眠時間が不足したり、眠りが浅かったり、夜中に何度も目が覚めてしまったりすると、この成長ホルモンの分泌が十分に行われなくなってしまいます。成長ホルモンの恩恵を受けられない毛母細胞は、その活動が低下し、細胞分裂が滞りがちになります。その結果、髪の毛の成長期が短縮されたり、新しく生えてくる髪が細く弱々しくなったり、あるいは抜け毛が増えたりといったトラブルにつながる可能性があるのです。睡眠不足が続くと、「なんだか肌の調子が悪い」と感じることがありますが、それと同じように、髪にも確実に影響が出ていると考えられます。「寝る子は育つ」と言いますが、それは髪の毛にとっても同じこと。「寝る髪は育つ」のです。健やかな髪を育むためには、単に睡眠時間を確保するだけでなく、深く質の高い睡眠をとることを意識することが、非常に重要になります。
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