抜け毛対策として、髪に良い栄養素を食事から摂ることは非常に重要です。しかし、どれだけ完璧な食事をしても、それだけでは十分とは言えません。摂取した栄養素を、髪の毛を作る工場である「毛母細胞」まで、効率よく届けなければ意味がないのです。そのために不可欠なのが、全身の「血行」を良好に保つ生活習慣です。まず、質の高い「睡眠」は、髪の成長に欠かせません。髪の毛は、私たちが眠っている間、特に成長ホルモンが多く分泌される午後十時から午前二時の間に最も成長すると言われています。睡眠不足が続くと、成長ホルモンの分泌が減少し、髪の成長が妨げられるだけでなく、自律神経が乱れて血行が悪化し、頭皮に栄養が届きにくくなります。毎日七時間程度の質の良い睡眠を確保するよう心がけましょう。次に、「適度な運動」も血行促進に絶大な効果があります。ウォーキングやジョギング、ヨガといった有酸素運動は、全身の血流を改善し、心肺機能を高めます。これにより、頭皮の末端にある毛細血管にまで、新鮮な酸素と栄養素が効率的に送り届けられるようになります。デスクワークが多い人は、一時間に一度は立ち上がってストレッチをするなど、こまめに体を動かすことを意識するだけでも効果的です。また、現代人にとって最大の敵である「ストレス」も、血行を著しく悪化させる要因です。強いストレスを感じると、交感神経が優位になり、血管が収縮してしまいます。その結果、頭皮への血流が滞り、髪に栄養が行き渡らなくなります。趣味に没頭する時間を作ったり、ゆっくりと入浴したり、自分なりのストレス解消法を見つけ、心身をリラックスさせることが重要です。頭皮マッサージも、直接的に頭皮の血行を促進する良い方法です。シャンプーの際に、指の腹で優しく頭皮を動かすようにマッサージする習慣を取り入れましょう。栄養摂取という「攻め」の対策と、血行を促進し、ストレスを管理するという「守り」の対策。この両輪が揃って初めて、真の抜け毛対策が完成するのです。