鏡を見るたび、枕や排水溝に溜まった抜け毛を見て、ため息をついていませんか。その悩み、実は日々の食生活が大きく関わっているかもしれません。髪の毛は、私たちが食べたものから作られています。つまり、健やかな髪を育むためには、その材料となる栄養素を食事からしっかりと摂取することが不可欠なのです。特に、髪の健康を語る上で欠かせない「三大栄養素」があります。まず第一に、最も重要なのが「タンパク質」です。髪の毛の約九十パーセント以上は、「ケラチン」というタンパク質で構成されています。このケラチンが不足すると、髪は細く弱々しくなり、ハリやコシを失ってしまいます。過度なダイエットなどでタンパク質の摂取が不足すると、体は生命維持に不可欠な内臓や筋肉へ優先的にタンパク質を供給するため、髪への供給は後回しにされてしまいます。肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などを毎日の食事にバランス良く取り入れることが、美しい髪の土台となります。次に重要なのが「亜鉛」です。亜鉛は、摂取したタンパク質を髪の毛の主成分であるケラチンへと再合成する過程で、不可欠な役割を果たすミネラルです。どれだけタンパク質を摂っていても、亜鉛が不足していては、効率よく髪の毛を作ることができません。また、亜鉛は毛母細胞の分裂を促進し、正常なヘアサイクルを維持するためにも必要です。牡蠣やレバー、赤身の肉、ナッツ類に多く含まれています。最後に「ビタミン類」、特にビタミンB群です。ビタミンB群は、頭皮の新陳代謝を活発にし、健康な頭皮環境を整える働きがあります。皮脂の過剰な分泌を抑えるビタミンB2やB6は、頭皮のトラブルを防ぎ、健康な髪が育つ土壌を守ります。レバーやまぐろ、かつお、バナナなどに豊富です。まずはこの三大栄養素を意識すること。それが、抜け毛対策の最も基本的で、最も効果的な第一歩と言えるでしょう。